あずゆづ。
「は、ハイ……!!」
私も慌てて、ゆづくんの隣に座って持っていたパンを一口かじる。
「…………」
「…………」
か、会話が……
驚くほどに、ない…!!
ちらりと、隣にいるゆづくんを見る。
ゆづくんは身長が高いから、視線を上へとずらさないとその表情が見えない。
そうして上へとずらした視界に映ったゆづくんは、どこか遠くをぼーっと見つめていた。
その視線をたどっても、遠くに校門、その隣に花壇があるくらいで。
どこを見てるわけでもなく、ほんとうにただぼーっとしてるだけのようだった。
「……」
私はその花壇からもう一度ゆづくんへと視線を戻す。
そして気づけば、遠くを見つめるゆづくんの首筋へと釘付けになっていた。
なんと、なんと完璧な胸鎖乳突筋なんだろう……
パンを握る腕の筋肉も筋もパーフェクト。
……ああ、もう。
「ゆづくん」
「あ?」
私は口の中に残っているパンをごくりと飲み込み、正座をしてゆづくんに向き直った。