あずゆづ。

鉛筆の芯の柔らかさが、線の強弱をつくっていく。

前まで、シャープペンで描いていたんだけれど。


ゆづくんの筋肉を思い出しながら描いているうちに、何か違う、何かが違うと悩みながらやっと出した答え。

あの独特なパーフェクトマッスルの、きめ細かく、その中にある力強さを表すにはシャープペンじゃ細すぎることにある日気づいた。


目の前にある本物と、スケッチブックと。

より正確に、より本物に近いものにするために、視線をなるべく素早く移動させる。


耳の下あたり……首筋から、腕、肘。
そこから手首、指先にかけてすらっと線を描いていく。

ああ、素敵だ…。

なんて完璧な筋肉なんだ……。

その間にあるゴツゴツとした関節がまた、筋肉の良さをひき出している。


ゆづくんを見て、スケッチブックを見て、ゆづくんを見て……。

ゆづくんを見て、ゆづくんを見て、ゆづくんを……。


「…………」


白に近い銀髪は、重力に逆らったような髪型をしていて。

それでも、私が初めてゆづくんを見つけた日から、なんだか少し伸びたかな?

前髪が少し、目にかかっている。


……あ、ゆづくんの瞳って赤かったんだ。

きれいだな。


耳、ピアス開けてたんだね。

全然気づかなかったな。




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