あずゆづ。

……なんだろ、どうしたんだろ。


なんだかすごい、ゆづくんのこと見るのが恥ずかしく感じる。


恥ずかしいと思えば思うほど、かああっと、どんどん顔が熱くなる。


なんで?

……なんで??

なんで今更、こんなに恥ずかしくなっちゃってるの……?


「……なあ」

「ハイ!?」


急に、ゆづくんの低い声に呼ばれてドキッとして声が裏返った。


心臓が口から出てきそうって、こういう時のことをいうのかもしれない。


「…………っ!?」


顔を上げると、ゆづくんの顔が目の前まで迫ってきていて。


「な、な……なんでしょうか…!?」

「………」


うわああああ。


「…………」


顔を近づけてきただけで、何も言わずに見つめてくるゆづくん。



なに!?

なんか言ってよゆづくん!!!!


「あ、あの……!?」


もうだめ!!

近い!!

口が心臓から出ちゃうよ~!!!!


「違う!逆だよ!! 私のバカ!!」

「はあ?」

「え!? 今私なんて!?」


も、もうだめ頭の中パニパニパニックすぎて何も考えられない!!!

こ、こうなったら落ち着くための呪文を……!


「僧帽筋三角筋胸鎖乳突筋大腿四頭筋……」

「……お前1回落ち着け」


ゆづくんの腕が、そっと伸びてくる。


「ああああ上腕二頭筋……!!」


そう叫びながら、ぎゅっと目を閉じた。

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