あずゆづ。

***

「あれ?あず」


しばらくしてから私は、とぼとぼと重い足取りで教室に戻った。

案の定、教室の中にはゆづくんの姿はなくて。


「………どしたん」


気づけば、ひよりの前まで歩いてきていた。

ひよりは最初、何事かと言わんばかりに目を見開いて私を見ていたけど。


すぐに何かを察したように、優しく微笑んで声ををかけてくれた。


「そんな、ブサイクな顔して」


いつも通りすぎるひよりのその言葉で、堰(せき)を切ったみたいに、涙が溢れてきた。


「ひ、ひより~……っ!!!」


そうして我慢できなくなって。

泣きながらひよりに抱きついた。


「うん、どしたん」


そっと私の頭をなでてくれるひより。


『どしたん』って聞きつつも、ちゃんと私が泣き止むのを待っててくれる。

ねえひより。

もういっぱいいっぱいになっちゃったよ……私。


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