過保護な騎士団長の絶対愛
「なぜなの?」

 モリスは低く唸ると、言いにくそうに口を開いた。

「ララ、ユリウスの出生をもう知っておるな? ヴァニス王国はかつて悪名高い侵略国家として名を馳せていた。幽閉されていた王族とはいえ、調べ上げれば素性はすぐに知れてしまう」

「そんな……」

 結婚は、自分たちだけ良ければいいというものではないのはわかっている。しかし、ララにとってそれは酷な現実だった。

「ユリウスとの婚儀は、国民に不信感を抱かせかねない」

 厳しい口調でそう言われてしまっては返す言葉がなかった。モリスは国王で国民の信頼は絶対で失うわけにはいかない。

「ララよ、お前の気持ちもわかるが、お前がつらい思いをするだけ――」

「父上、私がユリウスと婚儀を交わせないのはユリウスがヴァニスの出身だから、それだけの問題ですか?」

「……何が言いたい」

 モリスが眉間に皺を寄せる。その険しい表情にララは怯むことなく言った。

「それでは、王位継承権を放棄します」

「な、なんだと……!?」

「庶民になるのです。一庶民が亡国ヴァニスの王族と結婚しようが、この国にはなんの問題ありませんよね?」

「ララ!!」

 モリスは激昂して机を拳に叩き付けると勢いよく立ち上がった。叩き付けた拳はわなわなと怒りに震えている。
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