過保護な騎士団長の絶対愛
ユリウスがモリスと出会う一時間前。
騒がしいな――。
いつも物音ひとつしない地下室だったが、今日に限って侍女たちが廊下をぱたぱたと走り回り忙しなくしていた。読書に集中できなくなったユリウスは本を閉じ、どうしたのかと尋ねようとした時だった。
「クリフト様がお亡くなりになりました」
「……そう」
父が死んだ。突然の訃報だというのに、ユリウスはなんの感慨も沸かなかった。同じ年の兄がいたが、彼とは滅多に話をしたこともなく、追放された母の記憶ももちろんない。天涯孤独の身になろうがユリウスには感情の揺らぎは一切なかった。
「ユリウス様、これを持ってお逃げください! 時期にコルビス王がここへやってきます」
「え……?」
部屋に転がり込んできた侍女に父の死を告げられ、そしていきなり剣を手渡された。こんな物騒なものを渡されても状況が把握できなかったユリウスはその剣を手にしたものの、どうしていいかわからなかった。
騒がしいな――。
いつも物音ひとつしない地下室だったが、今日に限って侍女たちが廊下をぱたぱたと走り回り忙しなくしていた。読書に集中できなくなったユリウスは本を閉じ、どうしたのかと尋ねようとした時だった。
「クリフト様がお亡くなりになりました」
「……そう」
父が死んだ。突然の訃報だというのに、ユリウスはなんの感慨も沸かなかった。同じ年の兄がいたが、彼とは滅多に話をしたこともなく、追放された母の記憶ももちろんない。天涯孤独の身になろうがユリウスには感情の揺らぎは一切なかった。
「ユリウス様、これを持ってお逃げください! 時期にコルビス王がここへやってきます」
「え……?」
部屋に転がり込んできた侍女に父の死を告げられ、そしていきなり剣を手渡された。こんな物騒なものを渡されても状況が把握できなかったユリウスはその剣を手にしたものの、どうしていいかわからなかった。