過保護な騎士団長の絶対愛
 これでコルビス王とやらと戦えというのか――?

侍女が去った後、しばらくして喧騒が落ち着いた。


 逃げる? ここから? どうやって――?


 ユリウスは気にも留めず、読書の続きでもしようかと椅子に座ろうとしたその時、武装した数人の男たちがぞろぞろと部屋に入ってきた。ユリウスは驚きというよりも、自分の時間を邪魔されたという不快感の方が勝った。

「誰だ?」

 何も応えない武装集団にユリウスは警戒心を覚えた。


 見知らぬ者は全員敵だ。


その本能にユリウスは侍女から手渡された剣に力を込めて、目の前の男に切りかかった。しかし、自分よりも何倍も体格の違う相手に真っ向から立ち向かうのは無謀だった。そんなこともわからないほど、ユリウスは無知だった。


 あっけなく手元から剣が弾かれ、ユリウスは床に倒れこんだ。気がつくと、寸でのところで剣先を顔に突きつけられていた。しかし、不思議と恐怖は感じなかった。これで死ねるならそれでもいい。
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