過保護な騎士団長の絶対愛
「ユリウス様のことが頭から離れないほどに、ララ様は恋をしているのですね」


「こ……い?」


 恋愛小説も読まない。男性を見れば剣術の相手になるかどうか見定めたくなる。ましてや綺麗だとか可愛らしいだとか思われようとしたこともない。そんなララにとって、今まで不可解な感情の正体が“恋”と言われ、ララは急に恥ずかしくなった。恋のひとつやふたつ知っていてもいい年頃だとは思っていたが、その恋する時の気持ちがわからなくてララは悶々としていた。


「ステイラは、私がユリウスに恋をしているとしたらどう思う?」


 するとステイラは、返答に困ったような顔をして、止めた手をまた動かし始めた。束ねられた髪の毛をとかしながらうーんとうなる。そしてしばらく考えてから口を開いた。


「私はララ様が幸せになれるのであれば、どんな恋でも賛成ですよ」


「ほんと?」


「ただ、ユリウス様は……」


 そう言って、ステイラは口ごもる。


「ララ様がもし、本気でユリウス様を愛しておいででしたら、ひとつ知っておかなければならないことがあります。老婆心から言わせてもらいますが……」


 ステイラがユリウスから買ってもらったトレイビーの髪飾りを手にし、ララのまとめあげた髪に差すと言った。


「ここだけのお話です。ユリウス様はヴァニスの出身でいらっしゃいます」


「え……?」


「あまり知られてはいないことですが、モリス様とユリウス様が話されている時に耳にしてしまいました。ずっと他言はしておりません」


 ユリウスのララへの忠誠心を認めているステイラは、いわくつきのヴァニス出身だからといって醜聞を流すような女性ではない。
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