過保護な騎士団長の絶対愛
「亡国ではありますが、悪い噂の絶えなかったお国ですので、モリス様があまりいいお顔をなさらないかと……」


「ユリウスがヴァニスの出身……?」

昔、コルビス王国を襲撃しようとしたという、ヴァニス王国――?

ユリウスが? まさか――。


 しかし、ユリウスが悪名高いヴァニス出身だったとしても、ユリウスはユリウスだ。出身国なんて関係ない。


「私もユリウス様のことはあまり存じ上げませんが、ユリウス様は優秀な方でしたので、特に目立つ存在でしたよ、そのせいで若い兵に妬まれたりして」


 どことなく懐かしげな目をしてステイラが語る。


「けれど、私は一度も彼が泣いたところを見たことがありません。心の強い方でしたから、ララ様が心惹かれてしまうのもわかります」


 心惹かれる――。


 自分の気持ちを言葉で表現されると気恥ずかしさを覚える。


「ステイラ、私が話したことは父上にも秘密にしておいてね」


「承知いたしました」


 これから舞踏会へ臨む。それはモリスがコルビス王国三姉妹の婿探しのためという目論見でもある。ユリウスへの気持ちがわかったところで、自分の気持ちとは裏腹な舞踏会へ赴かなくてはならないと思うと、足取りが重たかった。


 すると部屋のドアがコンコンとノックされる。
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