過保護な騎士団長の絶対愛
「失礼いたします。ララ様、身の回りのご準備は整われましたか?」


 聞き覚えのあるその低い声に、ララの心臓がドキリと跳ねた。


「え、えぇ、ユリウス、入って」


 ララを舞踏会の大広間までエスコートするという役目を担い、ユリウスが一礼して部屋に入る。ステイラの手に支えられ、ララが椅子から立ち上がると全身にずしりとドレスの重みがのしかかった。


「お綺麗ですよ、ララ様」


「そ、そう? ありがとう」


 ユリウスの澄んだ瞳にまじまじと見つめられると、羞恥で逃げ出したくなってしまう。いつもチュニックにズボンといった軽装ばかりで、ユリウスにドレス姿を見せることは滅多にない。キメの細かな頬に白粉、ぷっくりとした唇に紅を施して久しぶりに化粧をした。

腰から胸の真下までピチッと締め上げられて、細いウエストラインと膨らみを強調するような姿は、ララにとって恥ずかしくてたまらなかった。しかもユリウスに見られていると思うとなおさらだ。


「あんまり見られると、その……恥ずかしいから」

「し、失礼しました。さ、ララ様、参りましょう」


 すると、ユリウスが驚いたようにララに目を留めた。


「ララ様、その髪飾りは……」

「えぇ、私のお気に入りの髪飾りよ」


 ララがユリウスに見せつけるように、ちょんと指で触る。

「ララ様、いけません。そのような一度地面に一度落ちてしまったようなものなど……」

「いいの、これに代わる髪飾りは他にないから」


 互いに顔を赤らめ、なにか小声で会話を交わすふたりを、ステイラはにこりと口元を綻ばせて微笑ましく遠目で眺めていた。
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