過保護な騎士団長の絶対愛
 目元のパピヨンマスクが煩わしい。ひとり残されたララはまずどこに行こうか思案していた。


 とりあえず、喉が渇いた――。


 舞踏会の雰囲気に高揚感を覚えたが、その中に多少の緊張も混ざっていて、枯渇した喉に潤いを求めてララは重たいドレスを引きずりながらテラスに出た。


 テラスにはオレンジやリンゴなどのジュースが並んでいて、三組の男女が談笑に花を咲かせていた。ララが長テーブルに並んだオレンジジュースに手を伸ばした時だった。


 同時に同じグラスを手に取ろうと伸びてきた手に気づいてララが思わず手を引っ込める。


「おっと、失礼いたしました。お先にどうぞ」


「ありがとう」


 譲ってくれたグラスを手に取り、ララがその方を見ると、仮面の向こう側でにこりと微笑む男が立っていた。ユリウスほど身長はないが、どこかの兵士を思わせるようながっしりとした体格だった。


 この人、剣術は得意かな――?


 ついそんなことを思ってしまい、いけないいけないと首を振る。


 そう、今日はおしとやかでいかなきゃ――。


「いい夜ですね」


 その男が恭しくお辞儀をする。ララもそれに合わせて軽く膝を曲げた。


「私はラ……」


 そうだ! 名前――。
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