過保護な騎士団長の絶対愛
「あなたはダンスを踊り慣れてないらしい、庶民か?」


「え……?」


 踊る身体をぴたりと留め、男がダンスをやめてしまう。


「なんとなく高貴な雰囲気はしていたが、的外れだったようだ。失礼」


 な、なんですってぇ――?


 男は一礼すると、そそくさと無言で人だかりへ消えて行ってしまった。


 なによ、あいつ――。


 そりゃ、ダンスは得意じゃないけど……身分で人を判断するなんて最低――。


 身分にこだわるどこかの貴族だったのか、ダンスだけで値踏みされたことにララは憤りを感じた。


 うぅ~ムカつく――!


 だからこんな舞踏会なんて来たくなかった。ララは自室に戻ろうかと出入り口に踵を返した時だった。


「お嬢さん」


 そう背中に声をかけられた気がした。ララはきっと自分のことではないと、気にも留めず足を踏み出す。


「そこのトレイビーの髪飾りが素敵なお嬢さん」


「え……?」


 トレイビーの髪飾りと聞いてララが勢いよく振り向くと、そこに夜闇のような髪色をした男が立っていた。彼の仮面は他の者とは違い、目穴には瞳が覗かないように薄い透かし布が貼られている。

ほとんど口元しか見えていないが、すらりとした身長と整った体躯に、ララは思わず目を奪われた。白い丈長のサーコートと呼ばれる服をまとい、その紳士はどこかの国の騎士を思わせた。
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