過保護な騎士団長の絶対愛
「あなたは……」


 闇にまぎれた長い黒髪を揺らし、仮面をつけた温度を感じない双眸と目が合ったような気がした。


「レオン!」


 ふたりの前に姿を現したのは、ララが先ほどダンスをした相手、レオンだった。


「なんだ、邪魔をするなんて、そちらの方が野暮だろう」


 ファビオはララの手を離すと、すっと立ち上がり、レオンと対峙する。


「別に、邪魔をしたわけではない。ただ通りすがっただけだ」


「ただの通りすがりなら声をかけるな、無礼者」


「そちらの女性が嫌がっているようだったので、むざむざと見過ごすわけにもいかない」


 ふたりの間に不穏な空気が漂う。


「俺は人から邪魔をされるのが一番嫌いなんだ。今すぐに立ち去らないのならば……」


 すると、ファビオは腰に隠し持っていた剣をすっと抜いた。舞踏会の時には気づかなかったが、社交の場でも男性が剣を携えるのは護衛のひとつとしてありえることだ。


「まったく、簡単に剣を抜くとは……好戦的で浅はかな男だな」


 レオンの余裕の笑みに挑発されたのか、ファビオが面白くなさそうに舌打ちをすると、それと同時にファビオが剣を振りかぶった。しかし、レオンはそれをひらりとかわすと、ララを守るように前に立ちはだかる。
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