王太子殿下は無垢な令嬢を甘く奪う
「私に王の駒として生きろと? 国のため民のため、ひいては王のために死力を尽くすなどと、そんな屈辱があるか。次期国王はお前だぞ、ウィリアム。青臭く、世の中の汚さも知らない餓鬼に、生涯を捧げるなど……ごめんだ」


 明らかにウィルへの冒涜を口にするフレイザーに、彼を取り囲む護衛達が、押さえる腕に苛立ちを込めた。


「王たる器に相応しいのは私だ。お前のぬるい頭なんぞに仕える気は毛頭ない」

「この慎ましやかな国で、貴様の小さな野望など叶えてどうする。女をはべらせ欲望のままに生きるか? 国民から税をむしり取り裕福に暮らすか?
 それこそ、国を廃れさせるだけだ」


 呆れたようなウィルに、フレイザーは自分を省みることなくククッと喉で笑った。


「だから甘いと言っているんだよ、ウィリアム。
 何のために騎士団がある。何のために日々の鍛錬を積んでいる?
 この国には優秀な兵が育てられているじゃないか。
 その力を結集し、周辺諸国をこの国の領土にするだけでこの国は何倍にも大きくなる」
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