王太子殿下は無垢な令嬢を甘く奪う
「それは、“俺”と結婚したいのか? それとも“王太子”の、どちらと結婚したいんだ?」


 ウィルの問いにエルノアは答えない。


「“王太子と結婚しなければいけない”という責務に迫られているだけじゃないのか?」


 ウィルの三つ目の問いを聞いたエルノアは、目を見開きそこに光を宿した。


「俺は、俺が心から愛する人との婚姻を望んでいる。マリーアンジュ以外との結婚は、一切考えていないんだ。
 それをこれから国王に伝えに行く。
 エルノア、君はもう何にも縛られない。自由だ。心から君を想っている彼とのこれからを、考えてみてくれないか」


 エルノアはまた顔を伏せ、肩を震わせる。

 彼女も、マリーと同じだったのだ。

 家の繁栄のために、上級爵位の跡取りと結婚しなければならないと教わってきた。

 それが、大公爵家の令嬢として当然の責務だと疑ってこなかったのだろう。

 けれど、エルノアがライアンを受け入れることができるなら、彼女の幸せはそこで見つけられるかもしれない。

 もし叶うのであれば、ライアンとエルノアが幸せになれる未来が来てくれればいいと、マリーは願った。
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