王太子殿下は無垢な令嬢を甘く奪う
 ウィルと結婚どころか、もう二度と触れ合うことは出来ないとすら思っていたのに。


「婚約者として発表されるだなんて、私、まだ心の準備も何も出来ていないわ……っ。それにまだ国王様へのご挨拶も考えてきてないし、不躾な娘だなんて思われたら……」

「それなら簡単だ。君が俺をどれだけ愛してくれているかを伝えてくれるだけでいい」

「!?」


 挨拶の言葉よりもさらなる難題を突きつけられ、マリーは絶句した。


「あ、あい……?」

「難しいことではないだろう? 優しいところが好きだとか、剣舞に見惚れたとか」

「そ、そんな……っ」


 たしかにそうだけれど、それを人前で逐一説明するなんて、そんな羞恥が他にあるだろうか。

 真っ赤に茹で上がるマリーの頬に触れるウィルは、ふっと意地悪な目元を律し、真剣な眼差しを降らせてきた。
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