王太子殿下は無垢な令嬢を甘く奪う
思い当たったのは、ウィルのこと。
しかも、まるでその彼が悪いことでもしたかのような言い草に、嫌悪感を抱いた。
「素直な娘だ」
しまったと思ったときには遅く、どうやら勘の鋭いらしいフレイザーに自分に近しい他人がいることを嗅ぎ取られてしまった。
「両親は知っているのか、その輩のことを」
「何のことかわかりません……」
消え入りそうな声で、上を向かされたまま視線を逸らす。
しらばっくれても、フレイザーから疑惑を消すことはできないらしい。
「こんなにむず痒い思いをするのは稀有なことだよ」
くくと喉で笑うフレイザーは、舐めるようにマリーの輪郭に冷たい指を滑らせる。
顎にかけられていた手から逃げるように顔を背けても、肩を抱き寄せられたままでは距離を取れなかった。
しかも、まるでその彼が悪いことでもしたかのような言い草に、嫌悪感を抱いた。
「素直な娘だ」
しまったと思ったときには遅く、どうやら勘の鋭いらしいフレイザーに自分に近しい他人がいることを嗅ぎ取られてしまった。
「両親は知っているのか、その輩のことを」
「何のことかわかりません……」
消え入りそうな声で、上を向かされたまま視線を逸らす。
しらばっくれても、フレイザーから疑惑を消すことはできないらしい。
「こんなにむず痒い思いをするのは稀有なことだよ」
くくと喉で笑うフレイザーは、舐めるようにマリーの輪郭に冷たい指を滑らせる。
顎にかけられていた手から逃げるように顔を背けても、肩を抱き寄せられたままでは距離を取れなかった。