甘きゅん恋愛のすすめ
「ーーー可愛いのはわかるけどさ」
近づいてきた謙が、猫を見ながら微笑む。
「あんまり手に入れようとしたら、逃げちゃうかもよ?」
一瞬、時が止まったような感覚がして。
無表情の謙と目が合った。
「……どういう意味?」
「ん?深い意味はないけど?」
気づけばいつものようなイタズラ顔の謙に戻っていて、さっきのは気のせいだったのかと思うほど。
でも…………。
「僕も好きだよ、猫ちゃん」
譲が伸ばした手に驚き、ふわ子はそそくさと教室を出て行く。
ーーー俺の勘は、よく当たる。