通学電車、下車後。
家に帰るのがもったいなくて、自転車は海へと進む。
うっすら夕焼け空の下、まぶしく輝く夕陽をめがけて。

浜辺に自転車を止めて、砂浜へ足を踏み入れる。

「織田君、ありがとう!」

誰かに後ろに乗せてもらうのだって、はじめてなの。
海だってはじめて。

男の子と夕陽を見るのも、はじめてで……


「……愛梨」

「え」

「って……呼ばれてるよね。平野さんとかに」

「あっ、うん。うん」

びっくりした。
名前を呼ばれたのかと……。

織田君は、海を見ていて。
私はその横顔を盗み見る。

が、すぐに気づかれる。

「…………また見てるし」

「ごめんなさい。でも、見ちゃうよ……」


私の気持ち、知ってるでしょう?


「き……昨日も言ったけど、…ずっと好きだったんだもん」

「……うん……」


頬が赤いのは、夕陽のせい?
ドキドキするのは、ふたりのりしたせい?
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