結婚適齢期症候群
「ドレスは、もう何着か試着したの?こないだお母さんがユカに着いて行ったって言ってたけど。」

「まだ決めかねてる。最近太ってきたからなぁ。本当はタイトなドレスで決めたかったんだけど、ちょっと厳しいかもね。」

「がんばって痩せたら?」

「無理無理。彼もぽっちゃりしてる君が好きだなんてほざいてるから。」

「はいはい、勝手にやってちょうだい。」

私は髪を束ねて後ろできゅっと強めに結んだ。

この結び方は顔がひきしまるので、2,3歳若く見えるんだ。

でも、今日はむくんでるか大してひきしまらなかった。

「お姉ちゃんは、タカシくんとはどうなの?」

それ聞くか-?

そういえば、言ってなかったっけ。

「別れた。」

口紅を差しながら答える。

「うそっ!」

ユカは髪をとかしていた手を止めて、目を丸くして叫んだ。

「どうするの?」

どうするの?って言われてもさ。

「何が?」

「だって、お姉ちゃんもう30でしょ?」

「悪かったわね。」

「結婚適齢期やばくない?」

幸せをつかんだお前が言うか?

ちょっとイライラして、ユカをにらんだ。

「結婚適齢期って、結婚したいと思った時が適齢期なのよ。」

思わず言い返した言葉。

奴が言ってた言葉そのままだし。

強がってそう言ったものの、年齢はやっぱり気になるわけで。

「お姉ちゃん、かっこいいこというじゃん。尊敬するわ。」

ユカは、おどけた調子で笑いながら、先に洗面所から出て行った。

「うるさい!」

洗面所から顔を出して、ユカの後姿にぶつけた。
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