結婚適齢期症候群
・・・ったく。

いつもお調子者のユカは、昔から私をからかっては笑いながら逃げて行く。

まぁ、こういうやりとりも、ユカがお嫁に出ていったらできなくなるんだよね。

鏡に映るはれぼったい顔を見つめながら、おセンチな気分になった。

きっと出て行く側より、置いてかれる方が寂しい。

「チサ-!早く食べないと電車に乗り遅れるわよー。」

母がキッチンから叫んでる。

おっといけない。

慌てて洗面台の電気を消すとキッチンへ急いだ。


夜から雨が降ると天気予報で言っていた。

朝からなんだか蒸し暑い。

湿度の高いのは苦手。

頭が重くて、体もだるい。

いや、このだるさは二日酔いかもしれない。

重たい足を引きずるように本社ビルに入って行った。

丁度来たエレベーターに駆け込むと、目の前に上司の松阪部長が立っていた。

「おはようございます。」

缶詰状態のエレベーターということもあって、本人にしか聞こえないくらいの小さな声で挨拶をする。

「や、おはよう!」

こっちが気を遣ってるってのに、松坂部長は満面の笑みでボリューム大のテナーを響かせた。

「今日は人事部に二人新しい奴が入ってくるんだ。しっかりしごいてやってくれ。」

何で私がしごかなきゃなんないわけ。

無理矢理笑顔を作って頷いておいた。

二人も入ってくるんだ。

昨日、マキが行ってた澤村とか言う奴と、あともう一人入ってくるのね。

まぁ、人事部で新入社員以外が入ってくる時は、結構な確立でいわく付きが多いからあまり期待はしていなかった。

だけど、マキがオーストリアの彼かも?なんてくだらない冗談を言ったもんだから、ほんのちょっとだけドキドキしている。

エレベーターが人事部フロアのある10階に着いた。

部長の後に続いて降りる。


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