君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
「私は絶対にイヤ。結婚する時も一生ついて回るのよ。相手だってどう思うか。『教王様のお下がり』なんだから。親も親よ。卑しいにもほどがあるわ。子供に体を売らせてまで特権階級に戻りたいのかしら」

足が震えて、力が入らない。

フィーはその場に崩れ落ちた。

あぁ……そうか。
そういうことだったのね。

すべてが一つにつながった気がした。
残酷すぎるほど明確で、清々しいほど単純な話しだ。

止めどなく涙が溢れてくる。

二人はまだ談笑していたが、フィーの頭にはもう何も入ってこなかった。内容なんてどうでもよかった。


なんて愚かなんだろう。

頬をつたう涙が、悲嘆から怒りに変わる。
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