君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
異性と同室で暮らせば、当然起こりうる噂だ。事情を伏せているのだから、なおのこと好奇の的になる。

そんなことにすら思いが至らなかった。

母が喜んでくれる。
少しでも名誉が回復できる。

下心を見透かされて指名されたのだろう。
そして、まんまと食いついた。
 

ふしだらな風評は貴族の世界では致命傷だ。そんな令嬢なんて誰も相手にしない。
人生に関わる大問題だ。
教王庁のせいだと親に抗議されたら責任問題に発展する。

それに対して、自分はどうだろう。
『元侯爵家令嬢』という肩書は完璧な身分証明になる。そして、不名誉な噂が流れても不都合が生じない。
こんな適任者は他にいない。
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