君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜

「アデルの神託を受け、すぐに使者が迎えに行ったんだけど。もう出立した後で。それ以降、はっきりとした足取りはつかめていない」
「でも……」
誰も彼女のことを知らないはずなのに、レイはまるで知人のような口調で話している。

「たまに。ごくたまになんだけど……」
普段の断定口調とは違い、珍しくあいまいな前置きをする。

「おれとナナカの夢がつながる時があるんだ」
「……夢がつながる？」
「多分、おれがナナカの夢の中に入ってるんだと思う。彼女が見ている夢が頭の中に流れてくるんだ。観客になって、端から眺めているというか。……よくわかんないだろ」
特に気にも止めていないように、屈託なく笑う。