君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
その隣にいるパンを配っている初老の男性にも声をかける。
「カルロ、君がくれるパンもおいしかったよ。噛みごたえがある、あの固いやつが特に気に入ってたんだ」
「あ、ありがとうございます。今日もご用意してございます!」

教王様からお褒めの言葉をいただいた今日を、生涯の誉れとしてきっと忘れることはないのだろう。

なんだかとても素敵なことに思えた。

気付けば、いつの間にかレイの周りには遠巻きながらも人が集まっていた。フィーは邪魔にならぬよう少し離れた所に控えて、『外』からレイを見つめていた。

国の守り神として神聖視される教王がこんなに近くにいて、そして分け隔てなく誰とでも普通に言葉を交わす。
そんな教王のお側にいられることを、フィー自身も誇りに感じていた。

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