君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
「さて、多忙な私はそろそろ退散します。レイ君が目を覚ましたら、しばらくは人間の姿でいるよう伝えてください」
「はい。ありがとうございました」

バルトを見送り、フィーはまたレイの元へ駆け寄った。
床に放り出されたように横たわるレイにタオルケットをかける。荒く短い呼吸音だけが生きている証だった。

どうか。
どうか、レイ様をお救いください。

神様に。
天国にいる父に。
レイの母犬、兄弟たちに。

すべてにすがりたかった。


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