君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜

３日後。

心地よい温もり。
何かが頬に触れる。

「……きて……フィー。起き……」
声がする。
誰かが呼んでいる。ささやくような優しい声色。

「フィー」

その声がまどろみの中からフィーを引っ張り出した。
「レイ様！？」
飛び起きて、すぐ横に目をやる。

あれからずっと床で眠り続けたレイを看病するために、フィーもすぐ隣で寄り添うように睡眠を取っていた。物音がしたら横を向くという反射行動が身についたようだった。

レイは上半身を起こし、床に座っていた。起きたばかりなのか服を着ておらず、少し寝ぼけた表情をしている。
視界に映った主の姿に、言葉より先に涙があふれ出た。