君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
人目を引くのはまずいと思ったらしく、アルベールはフィーの手を握って人が通らないような細い廊下へ早足で進んで行く。
廊下の突き当りで歩を止め、アルベールが改めて問い正した。

「わだかまりはもう全くないのだろうか?」
「あの件ではもうお怒りではないと」
「では、他になにか問題が?」
「……その……レイ様はまだアルベール様のことをよくご存知ないので……」
言い淀んでしまう。

「僕の人間性を疑ってらっしゃると?」
「……きっと誤解されているんだと思います……」
「ねぇ。フィー!」
強い眼差しで見据えられる。
< 99 / 122 >

この作品をシェア

pagetop