いじめっ子には愛の鉄槌を
あたしだって晴哉さんと本気で付き合いたかった。
淳太君と違って晴哉さんは穏やかでまっすぐで、嫌なことなんて強要しないから。
下僕ではなく一人の女の子として見てくれる、誠実で優しい人だろう。
だけど、好きという決定的な気持ちを、淳太君に邪魔されて……淳太君にばかり惹かれてしまって、晴哉さんと向き合うことが出来ないのだ。
淳太君はいじめっ子だ、こうやってあたしの恋路を妨害するのだから。
「でもね、淳太を落とすのは難しいかもしれないよ」
それは重々承知だ。
甘くて身体の芯まで溶けさせると思ったら、すごい勢いで突き放されたり。
経験豊富な淳太君に、あたしは振り回されっぱなしだ。