いじめっ子には愛の鉄槌を





再び唇を合わせ、今まで我慢していたものを吐き出すようなキスをする。

甘く激しく貪り合うそのキスに、胸が悲鳴を上げて苦しんでいる。

淳太君が好きだと思う。

溢れ出てくる好きが止まらないほど。







やがて名残惜しそうに唇が離れ、静かに淳太君が告げる。




「こうなるのが怖くて、本当のことを言えなかった。

気持ちが通じ合わなかったら、俺がシンガポールに行ってもお前は平気だろうと思って。

でも、晴哉と楽しそうにデートする桃華が許せなくて、我慢出来なくなってキスした」





その言葉が胸に染み込む。

そして、胸が甘く疼く。

運命は残酷だ、やっと両思いになれたのに、あたしたちはもうすぐ引き裂かれるのだ。





「俺は弱い男だ、自分の愛を素直に受け入れられず、お前を貶したり無理させたりばかりしていた。

それで昔も今も、お前がどれだけ苦しんだか……」




< 228 / 239 >

この作品をシェア

pagetop