いじめっ子には愛の鉄槌を




派手な人は苦手。

渡部さんは、そんなあたしの先入観を物の見事にぶち壊す人だった。




「同期の桃華と買い物出来るなんて、すごく嬉しい!」




そう言って、初対面の地味なあたしを引っ張ってデパートを駆け回った。

そして今までお洒落をさぼってきたあたしに、たくさん服のコーディネートを教えてくれる。





「オフイスには、こんなスカートがいいんじゃない?」



「このオレンジが差し色だね」



「この服は小柄な桃華でもスタイル良く見えそう!」




そのセンスには舌を巻く。

同じように人生を歩んできて、同じ職場に就職した渡部さんとあたしがこうも違うなんて。


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