ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
「レイちゃん!」


背中越しに聞こえる、ハルの声。

振り返っては、イケない。

足を止めては、イケない。

わかっているのに、次の一歩が踏み出せない。

ハルが、こちらに駆け寄って来るのがわかる。

これじゃ、またハルの瞳に囚われる。

逃げなきゃ・・・

そう思うのに、やっぱり踏み出せなかった。

目の前にやって来たハルと、視線だけは合わせないように俯く。


「レイちゃん。こっち、見てよ」


そう言い、ハルはあたしの頬に手を添える。

そして軽く顎を持ち上げ、自分に視線を合わせる。


「ごめん」


なんで、ハルが謝るの?


「レイちゃんは、レイちゃんの好きにしていい」


ハルに言われなくても、あたしはあたしの好きなようにする。

ハルに、許しを得る必要はない。

< 53 / 213 >

この作品をシェア

pagetop