恋する病棟、24時
「そ、んな……氷川先生に悪いです」
「俺は好きでやってます」
「でも……」
「少しでも嫌だと思ったら直ぐに別れてもいいので」
嫌なんて、思うはずがないのに。
まるで流されるように小さく頷くと彼が安心したように軽く表情を緩ませた。彼のこんなに優しい表情を見るのは初めてだった。
「ありがとうございます、大切にします」
「(もう死にそう……)」
こうして私は本当に氷川先生の恋人になってしまったのだった。
ハッと目が覚めるとそこは自分の部屋のベッドの上だった。それはそれはいつも通りの朝だった。
バスンと音を立ててベッドの上に体を落とす。どうしよう、今の全部本当に夢だったんじゃ。
恐る恐るスマホの明かりをつけて画面を覗き込む。するとこんなメッセージが目に入った。
【よく眠れましたか? 改めてよろしくお願いします】
そんなメッセージが「氷川司」というアカウントから送られてきていたのだ。
「(夢じゃない……)」
こんな夢みたいな出来事が現実に起こるなんて。
「はぁー、今日も氷川先生格好いいわ〜」