恋する病棟、24時
朝のカンファレンスを終えた後、真夜がそんな言葉を溜息と一緒に吐いた。
「真夜彼氏いるじゃん」
「それはそれ、これはこれ。目の保養っていうかさー、ていうかイケメンに白衣とか鬼に金棒と同じくらいの威力あるよ」
「それは分かる」
本当に外見、内面、全てにおいて完璧な人だ。私は入院患者のカルテを読み込んでいるそのクールな横顔を眺めながらそう思った。
「あれだけ格好いいのに女の影がないっていうのもいいよね」
「え、あ、そうデスネ」
「まぁそのお陰で周りには氷川先生を狙う女豹が沢山いるけど。誰選ぶんだろう。間違いなく私たちじゃないね」
真夜には申し訳ないけれど私なんだよなぁ、これが。なんて言えるはずもなく「そうデスネ」と賛同するしか出来なかった。
未だに何故あんな人が私のことを好きでいてくれるのかが謎だ。今世紀最大の、どんな探偵にだって解明出来ない。
『好きだからです、君が。ずっと見てました』
ずっとって、いつから何だろう。
「……さん、西原さん」
「は、はい!」
我に返ると隣にいた真夜が口元を押さえながら目をキラキラと輝かせていた。
それもそのはず、私たちが観察していた氷川先生が目の前にまで来て私の名前を呼んでいたからだ。