恋する病棟、24時
そう言ったか言ってないか、直様私のところへ駆け付けた氷川先生が火傷を負った方の手を掴んだ。
あまりの勢いの良さに思わず呆気に取られてしまう。
「怪我は? 直ぐに冷やさないと」
「ひ、氷川先生?」
「こっち来て」
彼は掴んだ手を引っ張って流し台へと連れていく。そして流水に火傷で赤くなった皮膚を当てた。
ひやりとしたその温度に痛みが少しずつ遠ざかっていく。それと反比例するかのように私の体本体はその体温を上げた。
さっきよりも体が密着してる。
「あ、あの、もう大丈夫ですよ!」
「大丈夫じゃないです。痕が残ったらどうするんですか」
「私、昔からよく怪我するので今更痕なんて」
「そういう話じゃない」
そう言う氷川先生は何かに縋るような視線を私に送っていた。
「君が大事だから、だから君自身が自分のことを大事にしてほしい」
「……私、自分のことを無下にしたことありました?」
「……」
一瞬掴んでいた手の力が強くなった気がした。彼の言葉はいつも魔法のように私のことを掴んで離さない。
水を止めると直ぐに冷やしたからか痛みは引いていて、それなのに彼はまだ心配そうに私のことを見つめた。