恋する病棟、24時
「え、でも氷川先生もお疲れじゃ。私は大丈夫なので帰って休んでください」
「君が無事に家に帰れたのが気になっては休めるものも休めないので。夜勤明けですけど安全運転なので安心してください」
「……」
そういう問題ではないのだけど。でも彼の顔を見ていると断れなくて「はい」と頷いた。
一昨日と一緒で彼の運転する車の助手席で揺られながら昨日の彼の行動を思い返してみる。
氷川先生は少し心配性すぎる気がする。あんなに気が動転するぐらいに私の火傷を心配していたし、今だって夜勤明けで疲れているはずなのにしっかりと私を家まで送ってくれる。
それに……
「昨日はすみませんでした」
マンションの前に着くと唐突に切り出された言葉に顔を上げる。
「あまりにも君が可愛かったから少しからかってしまいました」
「あ、アレやっぱりからかってたんですね!」
「すみません」
責め立てると苦い顔をして笑う彼が新鮮で不意打ちに胸キュンが飛んでくる。
「そ、それに私別に可愛くなんて」
「そんなことない、そうやって直ぐに赤くなる。可愛い」
「っ……」
男の人に可愛いなんて言われた経験の少なさは世界を狙えると思うし、その相手が氷川先生ときたら顔が赤くなるのなんて誰もの予想の範疇なのでは。
助手席でプスプスと音を立てて思考回路を故障させていると「でも」と彼が口を開く。