恋する病棟、24時



そんな塩野先生のからかいにも氷川先生は顔色を変えなかった。


「そんなことよりニヤニヤした顔で一花の側にいないで。一花が汚れる」

「へー、一花って呼んでるんだ」

「……」


い、いかん。氷川先生の目が名前通りの絶対零度の目になっている。
私は自分は大丈夫だと彼に言い聞かせて安心させようとする。

するとその時、


「つーかーさ!」

「っ……」


氷川先生の背中に誰かがぶつかった。彼が振り返るように半身になると、その人物の顔が私にも見えた。
その人は長い綺麗な茶髪に眼鏡を掛けた白衣の女性だった。


「知穂、こんなところで何してんの?」

「たまたまこっちにくる用事があったらから司の様子でも見ようかなって。あ、勿論仕事もあるんだけど」


氷川先生が塩野先生以外にタメ口を使っているのを初めて聞いた。この人は女の人には大抵敬語を使う人だから。私も今は下の名前で呼ばれているけど未だに敬語だし。
仲良さげな二人の雰囲気に何故か目を逸らしそうになった。


「なあなあ西原さん、あれ誰」

「……知らないです」

「だよな? てか超美人じゃね? 氷川にタックルしかけるとかは信じられないけれど」





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