恋する病棟、24時
隣で真夜が「ごめんねー」と手を合わせる。
「手伝ってあげたいんだけど今から彼氏とデートでさ」
「うんうん、分かってる。いってらっしゃい」
そう見送ると彼女はピンクのオーラを振りまきながらスタッフルームを後にした。うぅ、羨ましい。私だって仕事終わりに彼氏とデートしたい。
彼氏、ね。
「あれ、西原さん残ってたんだ。もしかして残業?」
「塩野先生」
「てか今水谷さんがめちゃ嬉しそうに駆けて行ったんだけど」
水谷は真夜の名字だ。私はそれにはははと乾いた笑いで返事をする。
塩野先生は自分の机に着くと柔らかい笑顔を作る。
「俺もやることあるからゆっくりしなよ。多分西原さんの方が早いと思うし」
「はい! 頑張りましょう!」
取り敢えず今日は仕事を終わらせよう。それで帰って氷川先生に電話するなりどうするかを考えなければ。
そう意気込むと私は目の前の仕事に集中した。
あらかた終わらせると時刻は夜の7時を回っていた。そろそろ帰るか。
すると、
「あれ、氷川どうした?」
「っ……」
塩野先生の声で顔を上げると入り口に氷川先生が立っていた。