恋する病棟、24時
突然すぎて開いた口が塞がらない。
「西原さんいる?」
いるよ、と塩野先生が指差した方向を見つめた彼と目が合った。今度こそは逸らすことが出来なかった。
何を話せばいいのか分からず金魚のように口をパクパクさせていると彼が表情を変えずに言う。
「一緒に帰りませんか?」
「えっ」
そう声を漏らしたのは私ではなく塩野先生だった。
「何? お前ら付き合ってんの?」
「うん、そ」
「わー! 待って待って!」
慌てて立ち上がると彼の側まで行き、そしてその唇を両手で塞いだ。うわ、唇柔らかい。
じゃ、なくて!
「か、帰りながらお話ししませんか?」
「……分かりました」
行きましょう、と頷いた彼に安堵すると塩野先生に挨拶をしてスタッフルームを後にする。
着替えを終えて外に出てくると白衣を脱いだ氷川先生が従業員入り口で待っていてくれた。
「車で家まで送るので駐車場に行きましょう」