BAD & BAD【Ⅰ】
もしかして、たかやんは、私が勘づく前からこの現状に気づいていたの?
「前はガラの悪ぃ奴らがことあるごとに突っかかってきたが、最近じゃ一切喧嘩してねぇし」
「へぇー、前はそんなに喧嘩してたんだ」
「まあな。1日に50回も喧嘩を売られたこともあったぜ」
「それはやりすぎ!!」
1日50回とか、それ体力的に大丈夫なの。
別の意味で死ぬよ。
喧嘩中毒者が続出しちゃうよ。
やりすぎには気をつけて。
「じゃあ、たかやんも違和感を感じているんでしょ?」
私は頬杖をついて、たかやんを直視する。
コーヒーのいい香りが、広間に満ちていく。
「不良が次々と滅せられている、この不審すぎる状況に対する違和感を」
とてつもなく、怪しいんだ。
不良達が全員好青年になったり、真面目な人柄に更生したり。
そういった好循環が廻っているなら、モヤモヤとした疑念がここまで存在感を出すことはないだろう。