BAD & BAD【Ⅰ】
「そういえば、十蔵寺剛が神雷をやめたのっていつなの?」
じんじん痛む額を抑えながら聞いてみる。
皆の言葉から、なんとなくの時期は察していたけど、はっきりとは知らない。
たかやんの唇が、静かに動いた。
「確か、4月10日だったはずだ」
驚きのあまり、一瞬全ての音が遮断された。
浅くなる呼吸。
生唾を飲み込み、目を伏せる。
「4月、10日……」
「そうだよな?弘也」
「合ってると思うよー」
偶然か、必然か。
私が師匠を助けた日と、神雷に裏切り者が現れた日が同じなんて。
偶然でも必然でも、これだけははっきりした。
4月10日は、私と神雷の厄日だ。