BAD & BAD【Ⅰ】
半分坊主という奇妙な髪型をしてるあの十蔵寺剛が、ここに住んでいるのか。いとをかし。
「十蔵寺首長もここに住んでるんだろ?」
「おそらくね」
「インターホンを鳴らしただけで怒鳴られそう……」
悠々たるたかやんと正反対に、弘也は焦りまくり。
たかやんを見習え、チャラ男。
「じゃあ、インターホン鳴らさなければいいんじゃない?」
「はあ?それでどうやって呼び出すのさ」
弘也の頭上に「?」が浮かぶ。
どうやってって……。
言葉ではなく、私自ら実践して教えてあげよう。
両手を口の前に持ってきて、すぅ……と肺に酸素を送る。
「ま、まさか……」
たかやんは、これから私がしようとしていることがわかったのか、眼を瞠った。
肺が満杯になったところで、空気を一気に解放する。
「ごおおおおうううくううううんんんん!!」
「うっっっせえええ!!」
日本全国に響き渡るくらいの大声で叫んだ私の頭を、たかやんが容赦なくチョップした。