BAD & BAD【Ⅰ】
たかやんもうるさいよ!どっちもどっちじゃん!!
脳が振動してる。たかやん、力強すぎだよ。
私、女の子なんだよ?手加減してよ。
「こうやって呼ぶんだよ!弘也もレッツチャレンジ!」
「無茶ぶりしないで。やんないよ?」
親指を立てて歯をキランとさせて薦めたのに、弘也に真顔で拒否られてしまった。
すると――カシャン、と金属音が聞こえた。
その音につられて、私達は顔を上げる。
「夜遅くに何の用だ」
「……剛」
十蔵寺剛が玄関から出てきて、たかやんは思わずポツリと名を口にした。
写真とはまるで違う、十蔵寺剛の冷酷な顔つき。
私達と十蔵寺剛の間に境界線を引いたような、十蔵寺剛宅の門が邪魔だ。