BAD & BAD【Ⅰ】





「円堂幸珀」



突然、十蔵寺剛に名前を呼ばれた。


給水塔に繋がるはしごにかけた足を一旦外す。



なんで、こいつが私の名前を知ってるの?



私と会ったのは、4月10日と昨日の昼休みと昨夜だけ。


会ったといっても、厄日と昨日の昼休みはすれ違った程度だし、昨夜は男装していたし、接点も関わりもないはずなのに。




……も、もしかして、私のファン!?





「なに?」



私と十蔵寺剛の、視線が絡まる。



十蔵寺剛がゆっくりと私に近づいてきて、私は反射的に比例するように下がっていく。


気づいたら後ろはフェンスで、逃げ場がなくなっていた。




ち、違う。こいつ、私のファンじゃない。



私のことが、好きなんだ!!


えっ、ということは……これって、こ、告白!?

告白とか初めてなんだけど。



どうしよう!テンション上がる!



「あ、あの……?」




< 264 / 540 >

この作品をシェア

pagetop