BAD & BAD【Ⅰ】
「円堂幸珀」
突然、十蔵寺剛に名前を呼ばれた。
給水塔に繋がるはしごにかけた足を一旦外す。
なんで、こいつが私の名前を知ってるの?
私と会ったのは、4月10日と昨日の昼休みと昨夜だけ。
会ったといっても、厄日と昨日の昼休みはすれ違った程度だし、昨夜は男装していたし、接点も関わりもないはずなのに。
……も、もしかして、私のファン!?
「なに?」
私と十蔵寺剛の、視線が絡まる。
十蔵寺剛がゆっくりと私に近づいてきて、私は反射的に比例するように下がっていく。
気づいたら後ろはフェンスで、逃げ場がなくなっていた。
ち、違う。こいつ、私のファンじゃない。
私のことが、好きなんだ!!
えっ、ということは……これって、こ、告白!?
告白とか初めてなんだけど。
どうしよう!テンション上がる!
「あ、あの……?」