BAD & BAD【Ⅰ】
祖父は首長なんだから、それくらいの情報網があってもおかしくはない。
剛の勘の良さと大量の情報があれば、私の正体をすぐ見破ったのにも頷ける。
それにしても、首長がプライバシーを侵害しちゃっていいのかねぇ。
悪い首長だ。
市民にバレても知らないよ?
「ど、どうしてわかったんだ?」
「なんとなく」
「なんとなく!?」
また、崩れた。
剛の顔を覆う、鉄の仮面が。
ずっと素でいればいいのに。
私、そっちの方が好きだな。
仮面したままじゃ、疲れない?
「お前、一体何なんだよ……?」
「円堂幸珀、ちょっとおちゃめな高校生!好きなものはあまーいスイーツ!朝は和食派で、卵焼きは甘い派!少女漫画が大好きな、夢見がちな乙女でっす!」
「……ああそうか、お前はアホなんだな、よくわかった。さすが神雷にいるだけはある」
「ちょっと!そんなこと一言も言ってないでしょ!?」
私をはちゃめちゃ軍団と同類扱いしないでくれる?
私はどちらかと言えば、苦労してる軍団だから。