BAD & BAD【Ⅰ】
7月20日、作戦決行日。
夏休み前、最後の学校が終わった放課後。
今日は、ここら辺の地域にある中学高校のほとんどが終業式のみのため、繁華街はまだ正午だというのに学生でいっぱいだ。
髪をひとつに結んで、学ランを腰に巻いている私は、レトロなカフェの裏の路地で剛と落ち合った。
あまり人目につきにくい、薄暗いこの場所で、最終チェックをするつもりだ。
「相変わらず、男前だな」
「でっしょー?」
「なんでお前って男じゃねぇんだろうな」
「どういう意味だ、こら」
女としても魅力的だろうが。
どこに目ぇつけとるんじゃボケ。
「あいつらは大丈夫なんだろうな?」
「昨日念入りに作戦会議とシミュレーションしたから、ダイジョーブ!」
せっかくウインクのオプション付きで言ってあげたのに、剛は靴紐を結び直したせいで、私の可愛すぎるウインクを見逃した。
てめぇ、わざとか?わざとなのか!?あ!?