BAD & BAD【Ⅰ】
剛は靴紐を結び直してから、自分の腕時計を見て、現在の時刻を確認した。
「あと5分か……」
決行時間は、午後1時ちょうど。
首長が繁華街を訪れる時刻を予測して決めた時間だ。
「てか、あんた、そのまんまの格好で行くつもり?」
「……ダメか?」
「ダメに決まってるでしょ」
制服は別にいい。
だけど、顔も髪も、何も隠していない。
それじゃあ、作戦参加者にあんたがいることが、首長にも神雷にも即バレるでしょうが。
ちょっと考えたらわかるよね?
「はい、これ付けて。これも、あとこれも」
念のためと用意してきた変装グッズを、剛に渡す。
持ってきてよかった。
私の用意周到さは、もはや神の域に達してるんじゃない?