BAD & BAD【Ⅰ】
あの、師匠?
最小限の力で倒してくださいって、昨日頼みましたよね?それでちゃんと了解しましたよね!?
かけ声は弱々しかったのに、すんごく痛かったんですけど。数メートル飛びそうでしたよ?
それと、やっぱりマント要らないですよ!ひらひらひらひら、鬱陶しいです!捨ててください!!
……なんて、募る説教はあとだ。
「神雷がここまでやるとは……」
「こ、ここは一旦引くしかないな」
私と剛は、何度も練習したセリフを吐いた。
首長を解放し、剛と共にこの場から逃げるように立ち去る。
逃げた先は、剛と落ち合った、レトロなカフェの裏の路地。
そこから、神雷と首長を見守る。
作戦が見事無事に終わりますように。
野次馬は拍手をしながら、私と剛を追い払った師匠に喝采を送っていた。
師匠、鼻の下伸ばしてデレデレしてる場合じゃないでしょ!?
台本通りやってください!