BAD & BAD【Ⅰ】
ねぇ、首長。
神雷が警察によく頼られるという情報は、データとしては知っていたかもしれないけど、生の声は聞いたことがなかったんでしょう?
これが、誰もが恐れ、誰もが慕う、最強無敵の暴走族・神雷なんだと、覚えて帰ってくださいね。
神雷総動員で押しかけた迫力ある演出によって、この場の空気は神雷のものへと塗り替えられた。
私達悪役が、やるべきことは決まっている。
私と剛は顔を見合わせて、作戦通りに動く。
「神雷だからって、容赦しねぇぞ!」
「離れてほしかったら、力づくでやってみれば?」
私達は神雷を煽った。
「こ、ここ、こここここであ、あったが、ひゃひゃ、ひゃっ、ひゃくねん、めっ!!」
おいこら、桃太郎。
演技下手くそな上に、緊張しすぎておかしくなってるんだから引っ込んでな。
邪魔だよ邪魔。
「とりゃっ」
「いっった!!」
桃太郎に気を取られてる間に、師匠が私の横っ腹を思い切り強く殴った。