好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
一人納得する黒藤。
黎との間に割って入られて、背後に廻された白桜はやっと落ち着いて来た。
「どういうことです? 若君。影小路の姫の血を吸って――黎は無事なのですか?」
みおが訊ねる。黒藤は「うん」と肯いた。
「真紅は、今は滅んだ退鬼師・桜木の末裔(まつえい)でもある。
黎が真紅の血を吸ったっていうのは、妖異に襲われて失血死しそうだったところを、黎が助けた際のことだ。黎が真紅の血を吸った時、反対に真紅に黎の血を送ったんだろう?
それで真紅の身体は、異物である黎の血の、鬼性を浄化したんだ。
それに呼応されて、黎自信の血からも鬼性が退治られた。
黎、真紅の血を吸ってから一度でも他の血を欲したか?」
「いや――それを考えるとむしろ吐き気がして……真紅の血をもらったのが最後だ」
「澪、その間、黎の体調に問題は?」
「ない、です。……祖父が、実験的に間隔を伸ばしているものと思っていました」